琵琶湖の環流 |
第一環流では、圧力傾度力が遠心力とコリオリ力の和となって(P=F+C)、かなり大きな値となります。つまり流速が大きく、はっきりとした水温分布が現れます。一方、第二環流ではP=F-Cなので、あまり目立った水温構造は見られません。この力学は天気図にみられる低気圧や高気圧にも当てはまります。1気圧は1013 hPaですが、高気圧はいくら発達しても1050 hPa程度です。それに対して低気圧や台風が900 hPa以下にまで発達するのは、コリオリ力と遠心力が同じ向きに作用し圧力傾度を大きくできるためです。 |
環流の存在によって、びわ湖の水はよくかき混ぜられていると考えられます。たとえば北湖の電気伝導度を測定してみると場所による違いがほとんど見られません。逆に言えば、もしもびわ湖のある場所が汚染されたとすると、その汚染は環流によってびわ湖中に拡がってゆくことになります。 環流がなぜ生じるかについては、いくつかのメカニズムが考えられてきましたが、最も重要な原動力は風の渦度(うずど)であることがわかりました。詳しいことは、「びわ湖の風」を読んで下さい。最近のビワコダスの観測や、京大の秋友教授の研究などから、びわ湖特有の風によって環流が形成されることがほぼ確実になりました。下図は、それを模式的に表わしたものです。 |
このページの主な内容は、 Endoh, S. & Okumura, Y. (1993): Gyre system in Lake Biwa derived from recent current measurements, Jpn. J. Limnol., 54 : 191-197. および びわ湖の環流に関する一考察:日本陸水学会第73回大会(札幌)、2008年10月 /要旨//プレゼン/ によっています。 |